心が震えた出会い Vol.4〜恩師〜 <私のペン字の歩み 1>

1996年(平成8年)6月下旬。30代前半の自分。

まだ実家住まいだった当時、帰宅するとNHK教育テレビがついていて、『趣味百科ペン習字入門』という番組をやっていた。最終回だという。自分の母親くらいの年齢だろうか。講師の女性が、黒板にペン習字の文字を書いた。
息を呑んだ。…一瞬で、その文字の美しさに惹きつけられた。そして震えた。一目ぼれしてしまった。

番組も後半になって見て、しかもその回が最終回。番組の最後に講師の名前が出て、ようやく名前を知ることができた。今でこそ、インターネットで即座に情報を仕入れることはできるだろう。だが当時は、自分もパソコンなんて持ってなかったし、インターネットで検索という文化はまだまだ当たり前ではなかった。だから、番組終了後は、自分もペン字を勉強したいなと思ったけれども、仕事が忙しくて自分には勉強するのは無理だろう(そこが今となれば、何と生意気な不遜な自分であったと思えるのですが…)。覚えた名前だけ心にしまって、その講師にはいつか会えたらいいな、と密かに思いを寄せるだけであった。

そして、何となくのペン字の憧れは持ったまま、だからといって何をする訳でもなく、時間だけが過ぎていった。

1999年(平成11年)10月第一週の日曜日。
横浜のデパートに出かけた。少し時間があり、デパート内のカルチャースクールに時間を潰しに行ってみた。いろんな講座のチラシを眺めていたのだが、ふとあるチラシを見て、大きな声を出してしまった。‘あっ!’

3年ぶりに見る講師の名前。なんと、ここでペン字の教室を持っているというのだ。なんとまあ…。そして、次に手が震えてしまった。複数ある教室の中で、平日の夜間にその講師はペン字を教えているというのだ。隔週に。

みるみる気持ちが湧き起こる。ペン字を勉強したい!しかもこの先生に!どうしても!
その後の流れは、たぶん自分は息をしていなかったのだと思う(笑) あっという間に、その場で入会の申し込みをした。念のため、受付の方に先生のこと聞いてみた。「先生は、NHKのペン習字の初代講師に起用された方でしょうか?」笑顔で答えて下さった。「ええ、そうですよ。」

本当の出会いまで、あと4日。